テレビ出演で本当はかかるお金、かからないお金― 取材される側が知っておきたい現実
- imd33

- 1月19日
- 読了時間: 6分
「タダでテレビに出られるなら、ありがたい」
取材の依頼が来て、撮影の日取りも決まれば、そう思うことでしょう。
たしかに、出演そのものにお金が発生することは、ほとんどありません。
けれど実際には、目に見えないところで、確実に動いているものがあります。
今回は、取材を受けたときにかかるお金について考えていきましょう。
出演料は基本、発生しない
一般の取材協力者や店舗、企業には、出演料は出ません。
番組側から出演料をお支払いする、ということはありませんし、もちろん、
出演料を請求することもありません。
では、番組制作側が支払っているものを簡単に挙げてみます。
タレントの出演料
制作スタッフの人件費
カメラ・音声など技術スタッフの人件費と機材費
編集費
取材先は、「協力していただく立場」になります。
取材先側から見てみると、
取材側がテレビ出演のためにかからないお金は、
出演料
放送料
番組制作費
です。
実は「かかっているお金」
しかし、取材に協力するということは、撮影のための準備が必要になり、
普段どおりの営業ができるとは限りません。
そこに、可視化されていない「かかっているお金」が発生します。
たとえば、
・仕込みや準備の人件費、食材・材料費
仕込みのシーンを撮影したい、という要望があった場合、
撮影のために、普段は行わない時間帯に仕込みをする必要が出てくることがあります。
例えば、
いつもは営業前の早朝に仕込みをしているけれど、
撮影スケジュール的に、営業後に仕込みをする場合。
そのシーンを撮影するために、担当者に残ってもらったり、仕込み用の食材を追加で用意したりすることもあります。
・営業時間の調整、機会損失
撮影のために、営業時間を遅らせたり、早く終わらせたりすることもあります。
映り込みを避けたいお客さんが、帰ってしまう可能性もあります。
出演者がアイドルや俳優の場合、
混乱を避けるため、
「お客さんがいないシチュエーション」を求められることもあり、
その場合、臨時休業になることもあります。
・光熱費、消耗品
商品や料理をきれいに撮影するために、照明を設置することがあります。
その際、電源をお借りすることがあります。
また、撮影した商品や料理はその場で消費できず、持ち帰ることもあります。
その際のパッキング容器を提供していただくこともあります。
ちなみに、撮影した商品や料理、リポーターが試食する料理については、
原則、番組がお支払いします。
・社長、店長、担当者の拘束時間
インタビューや撮影の立ち合いなどで、時間をいただくことがあります。
工場撮影の場合は、危険箇所や企業秘密の関係で、
撮影対応の担当者が常に付き添うケースもあります。
撮影用に製造工程や製造ラインの変更をするかもしれません。
撮影のために、さまざまな方の時間をいただくかもしれません。
・仕入れ先や周辺への許可取り、調整
食材や材料も取り上げたい場合、仕入れ先への取材することがあります。
その際、撮影の了承をいただいたり、日程調整をお願いしたりします。
近隣店舗への連絡や、店舗の貸主への報告が必要になる場合もあります。
よくある誤解
こうした見えないコストは、取材を引き受けた時点では、なかなか想像できません。
たとえ説明があったとしても、
「宣伝になるからトントンかな?」
「タレントが来るんだから、しょうがないのかな?」
「テレビ側が全部やってくれるんだよね?」
と思われがちです。
これは、半分正解で、半分は間違いです。
宣伝になるから、タレントが来てくれるから、と引き受けたものの、放送後、期待していたほどお客さんが増えなかった、というケースもあります。
また、テレビ側がすべて段取りしてくれていると思っていたら、周辺や仕入れ先への連絡が行き届いておらず、トラブルになることもあり得ます。
番組側は、そのコストをどう考えているか
番組側は、こうした見えないコストについて、
「負担をかけている」という自覚を持っています。
取材先の内部調整の時間、周辺への連絡、店主や従業員の時間をいただいていること。
だからこそ、制作側としては、無理なお願いは避けたい、という気持ちがあります。
取材先の「ここまではできるけれど、それ以上は難しい」
その線引きを、できるだけ早く知りたいのです。
ただ、その線は、番組側がやりたいことと、取材される側が引き受けられる範囲を、
お互いが理解しなければ、引くことができません。
一度のやりとりで決まるものではありません。
何度もやりとりを重ね、ロケハンで現場を拝見し、
「ここで、こういうふうに撮りたい」と
具体的に提示しながら、撮影イメージをすり合わせていきます。
だから、取材先は、番組側の提案をすべて受け入れる必要はありません。
できないことは、できませんと伝える。
それで構わないのです。
ネット上では、
「テレビは取材してやっている、というスタンスだ」と
書かれることもありますが、
現場の制作者で、そう考えている人は、かなり少なくなりました。
取材を受ける意味があれば、引き受ければよい
取材を受けると、何かしらのコスト(手間)は生じます。
その一方で、コストを超える価値もあります。
信頼の獲得
公共性のあるテレビに取り上げられることで、ユーザーやお客さんからの信頼性が高まります。
認知の広がり
視聴者が足を運んでくれたり、購入してくれたりすることがあります。
また、テレビ番組を最も熱心に見ているのは、同業の番組制作者たちです。
別の番組から取材依頼が来ることもあります。
二次利用(Web・SNS・店内掲示)
番組公式サイトやSNS、YouTubeで見逃し配信され、オンエア以降も放送を見ることができるかもしれません。自社のHPや店内で「●●で紹介されました」という掲示は、信頼につながります。
長期的なブランディング
テレビは「わかりやすく、おもしろく」伝えることに長けています。
自社や商品の魅力を再発見し、従業員や取引先、常連のお客さんと共有する機会にもなります。
映像として記録が残る
普段の営業や仕事の風景を映像に残すことを、わざわざしないと思います。 プロがストーリーを作って、プロが撮影する。そういう機会はまたとありません。
あとあとまで見れる映像ストーリーを残す機会になります。
判断のための簡単チェック
取材依頼があったとき、考えてほしいのは次の3点です。
どこまで対応できるか
無理が出ないか
出たあと、どんな影響があるか
番組担当者から多くの質問や依頼があるでしょうが、
こちらからも質問を返し、この3点について整理してみてください。
あとあと、いちばん不快感が残りやすいのは、二つ目の「無理が出ないか」です。
負担を感じそうなら、その時点で伝えてください。
その反応次第で、出演を判断してもよいと思います。
意外と、
「そのシーンはなくても成立します」
「では、別の撮り方にしましょう」と、
代替案が出てくることもあります。
テレビ出演するかどうかの判断は?
テレビ出演は、お金がかからない代わりに、時間と労力がかかります。
それに見合う意味があるかどうかで、判断すればよいと思います。
私たちが言われてうれしいのは
「あなたたちに取材してもらってよかった」という一言です。
現場では、取材先の魅力をどう伝えるかに、いつも頭を悩ませています。
お願いごとが多くなってしまうこともありますが、それは、魅力を伝えるため。
私たちも取材先の方に喜んでもらえるのが一番うれしいんです。




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