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テレビ番組の撮影はどのくらい時間がかかる ~飲食店のケース~

情報番組もバラエティ番組も報道番組でもグルメ企画は鉄板。毎日何軒ものお店がテレビに登場しています。全国展開のチェーン店も地域密着型の個人店も、大箱もカウンターのみでも、駅前の店もぽつんと離れた店でも、テレビにはあらゆる切り口の番組があり、取り上げられる機会は平等にあります。


一軒あたりの放送時間は1分から10分ほどが多いようです。その場合の撮影時間はどれくらいかかっているのでしょうか。例をあげて説明してみましょう。


1分程度の放送はどんな内容?


1分程度取り上げられる場合とはどんな番組かあげてみますと・・

・テレビ東京系でオンエア中の『アド街ック天国』(毎週土曜日)で、新しい業態の店紹  

 介、その地域に根付いている老舗店の紹介。

ニュースとして『食材の値上げラッシュが飲食店にどんな打撃になっているか』のインタ 

 ビューで答えるようなシチュエーション

・タレントが町歩きするようなお散歩番組で、タレントが訪れたお店の近くにはこんなお店 

 もあります、といったサブ的な取り上げられ方


などがあります。

番組は1時間くらいあっても、取り上げる店が多店舗あり、そのなかの1店として登場すると、1分程度の放送尺になります。

こういう番組ですと、1日に数件の店を撮影しますから、制作陣は撮影する内容をしっかりと決めて、効率よくこなしていくためのスケジュールを組み立てています。


1分程度の放送尺を埋めるには、次のようなシーンの撮影が必要です。


  • 店の外観と店内

  • 料理

  • 調理している店主

  • 店主やスタッフのインタビュー


撮影にかける時間は、1~2時間。お店が忙しくない時間帯、例えばランチが終わって夜営業が始まるまでの間に撮影をお願いされる場合が多いです。


ちなみに最も時間がかかるのは、料理の撮影。料理を見た目通りにおいしそう、と感じるように撮影するには、ピンスポットライトで明かりを足したり、湯気をアップでとらえられるようなマクロレンズを使用しなければ、リアルなおいしさが伝わらない映像になります。


もし、店内の明かりだけで撮影すると、料理の出来立て感やほかほかしたあたたかい感じ、ぐつぐつと音を立てて煮えている感じ、新鮮なぷりっとした感じを捉えることはできません。店内の照明だけでは冷えて萎びた感じがしてしまいます。おいしいものをおいしく感じてもらえるようにするには、機材も時間もかけて撮影します。



3分程度の放送はどんな内容?


3分程度の放送内容は、情報番組や報道番組の1コーナー。例えば、


TBS系列で土曜日に放送している『王様のブランチ』朝9時30分からお昼2時の生放送。長時間のワイドな番組は、たくさんの企画コーナーがあります。グルメ系のコーナーは、「ごはんクラブ」や「トレンド部」というコーナー。ブランチリポーターやゲストが”やりすぎお肉グルメ””大リニューアル!横浜赤レンガ倉庫”と若い世代が好む料理を食べ歩きしたり、週末出かけたいニュースポットで体験やお店紹介をしています。それぞれのコーナーで取り上げられている店は3~4店舗ほどですが、1店あたりの放送尺は3分程度です。


さて、このコーナーの場合、次のようなシーンが必要です。

  • 店の外観と店内

  • 店の雰囲気や特徴がわかるコーナーやグッズ

  • 調理

  • タレントによる試食

  • 食レポ

  • 店長やスタッフのインタビュー


タレントがいるときの撮影は、タレントがらみの撮影をするA班と、タレントのいない部分をおさえるB班の2班体制。あるいは、タレントがらみを撮影する日と、それ以外を撮影する日の2日に分けることもあります。


タレントが紹介する場合は、タレントのスケジュールが優先されます。人気タレントは、1日に複数の仕事が入っていて、一つの番組に割り当てられるのは2~4時間程度。その間に2,3か所の撮影をしなくてはなりません。


タレントがらみの撮影で1時間、それ以外の撮影で2時間程度で合計3時間ほどかかりそうです。


5分程度の放送は・・


例えば、TBS系で日曜日の夜放送されている『バナナマンのせっかくグルメ』。旅人であるバナナマンの日村さんやゲストが地方を訪れ、地元の方に「せっかく〇〇に来たからには〇〇を食べていきなさい」と教わってその店に取材交渉、食べに行く、というもの。

先日番組を拝見したときには、3つの地域で、3店、2店、1店の合計6店舗が登場。タレントと地元の方のやりとりも楽しいですよね。さて、タレントがお店に到着してからの映像は、


  • タレントがお店を見つけて入る

  • タレントが店主にあいさつして、地元の方にここのこれを食べてと紹介された

  • 席に座って料理を待つタレント

  • 料理がくる

  • 料理紹介

  • 試食

  • 食レポ

  • お店の方とタレントのやりとり


タレントとお店の方やお客さんとのやりとりが番組の持ち味になっています。バナナマンの日村さんは、一瞬で人の心を開かせて、話を聞きだすのが上手ですから、短い撮影時間でもタレントとのやりとりで撮れ高が十分に確保できます。たぶん、この番組はタレント班2カメと、料理ディスプレー班1カメの体制ではないかと推測。


撮影するのは、タレント班が1時間、でも2カメですから、2時間になります。それと料理ディスプレー撮影が1時間で、合計3時間の分量になります。


10分程度の放送はどんな内容?


10分程度の放送はどんな番組があるでしょうか。10分はなかなか見ごたえのある尺です。

例えば、こんな番組です。


テレビ朝日系月曜日の放送『帰れマンデー見っけ隊!!」の、「帰れま10」

人気チェーン店で人気メニューの10位までを当てる、というコーナーや、

同じく月曜日放送している、日本テレビ系『ヒューマングルメンタリー オモウマい店』

『オモウマい店』はドキュメンタリーでありながら、スタジオではタレントが突っ込みまくる、新しい形態のバラエティです。


『帰れマンデー』はタレント重視のスケジュールになっているので、『オモウマい店』の撮影について解説してみましょう。


構成されているシーンはこんな感じです

  • お店のウォッチング

  • お客さんのリアクション

  • 厨房

  • 料理

  • お店の方とディレクターのやりとり

  • 仕入れや仕込み


撮影は、ディレクターの手持ちカメラと店内に設置された定点カメラ。その撮影は1週間から10日と長期にわたります。1日の撮影時間は平均すると5時間ほど。定点カメラが2か所設置しているとして、トータルの撮影時間は約100時間。それとは別に、料理の撮影で2~3時間かかっています。


撮影時間は、放送時間の10倍以上かかっていると話すと驚かれるのですが、ご理解いただけたのではないでしょうか。


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