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なぜ夕方のニュース番組は6時過ぎにVTRでグルメ特集をするのか?

在宅ワークによって、夕方のニュース番組を見る機会が増えたかと思います。地上波のニュース番組を並べてみますと・・

NHK    『首都圏ニュース』18時~19時 『ニュース7』19時~19時半

日本テレビ 『ニュースエブリィ.』 15時50分~19時

テレビ朝日 『スーパーJチャンネル』16時45分~19時

TBS    『Nスタ』       15時49分~19時

フジテレビ 『イット!』      15時45分~19時

テレビ東京 『ゆうがたサテライト』16時54分~17時05分

                    (2023年1月のテレビ番組表より)  


日本テレビ、TBS、フジテレビの地上波3局では15時台から19時まで長時間のニュース番組を放送。テレビ朝日は16時45分スタートです。


夕方のニュース番組は長時間


コロナ渦によって在宅時間が長くなり、夕方のニュース番組を初めて観た、という方も多いのではないかと思います。こんなに早い時間にスタートしていたのか、と気づかれた方もいるのではないでしょうか。


夕方にテレビを観る習慣は、小学生のころ以来、という方は、17時台ってドラマやアニメの再放送枠じゃなかったんだ、と思われるかもしれませんね。夕方のニュース枠がなぜこんなにワイド化したのか?は別の機会で考察いたします。

ワイド化したニュース番組の構成をみてみますと、地上波の4局は18時すぎにVTRのコーナーがあります。しかも、15分ほどとなかなかの時間を割いています。内容の多くはグルメ情報や家族のドキュメント、調査報道など硬軟いろいろですが、比較的やわらかい内容のものが多く放送されています。


弊社もこの枠を制作しています。なぜ、ニュースという報道番組のなかで、情報番組的なコーナーをVTRで放送しているのか、について考察します。


夕方のニュース番組は地域ごとに内容が違う


夕方のニュース枠は複雑な構成をしています。関東圏の放送からはその複雑さは感じられませんが、地方の番組表を見るとよくわかります。


例えば、関西圏の読売テレビの番組表を見ていましょう。


15時50分 『ニュースエブリィ.』

16時50分 『かんさい情報ネット ten 第1部』

17時53分 『ニュースエブリィ.』

18時15分 『かんさい情報ネット ten第2部』~19時まで


『ニュースエブリィ.』と『かんさい情報ネットten』が交互になっている、という構成です。では、鹿児島県の、日本テレビ系列ネット局の鹿児島読売テレビの番組表をみていますと・・


16時50分 『ニュースエブリィ.』

18時15分 『ニュースエブリィ.かごしま』~19時まで


となっています。ちなみに、鹿児島読売テレビの15時50分から16時50分は「なんでも鑑定団」の再放送。つまり、鹿児島ではテレビ東京のネットがなく、日本テレビ系列のネット局でテレビ東京の番組も放送しています。このように、地方では、テレビのチャンネル数がNHKと地上波が2局だけ、というところがあります。地方に住んでいる方が旅行で都市部に出てきて初めてテレビで全局を見た、という方も多いのではないでしょうか。


それはさておき、つまり、夕方のニュース番組は長時間のワイド番組ですが、全国ネット枠とローカル枠が混在しているのです。そのため、全国ネット枠では政治、経済、国際、芸能系のニュースを流しており、18時15分以降は地域に密着した経済、農業、イベントのニュースになっています。


VTRのコーナーは、全国ネットとローカルとの切り替わりのタイミングでスタートしていて、VTRのコーナーは、ローカル枠なのです。このコーナーは、番組は全国で放送しているけれど、VTRのコーナーは関東ローカル、というややこしい時間帯の放送になっています。


これが18時過ぎにVTRのコーナーがある、という理由ですが、もうひとつ理由があります。


VTRコーナーの役割


それは、突発的な事件や事故が起きたときの対応のため、です。

例えば、ワールドカップ日本代表選手の帰国を空港から生中継。

立てこもり事件を現場から生中継。

コロナウィルスの対応についての会見を生中継。

大きな地震がおきたときに、現地から生中継。

世間を揺るがした事件の当事者が行う謝罪会見を生中継。 


など、ニュース番組ですから何かが起こったときに、すぐに差し替えができるようなニュートラルな時間を確保しておく、という役目があります。


政府からの大事なお知らせ


政府側も、全国民に対して、すばやくお知らせをしたいときには、会見を18時すぎに設定しています。全チャンネルが会見を生中継することで、日本のどこにいても政府からの発表を知ることができるのです。もちろん緊急性の高いものは、18時を待たずに番組を中断して放送することがありますが、番組を止めるかどうかの判断はテレビ局が主導です。18時台であれば、社内の調整がほぼ必要ないという利点があるため、18時に会見を設定することが多いのです。


なぜ、全チャンネルが同じ映像でも放送するのか?


全チャンネルが会見を生中継するのは、地方によって、放送局がない場合もあるからです。「どのチャンネルもなぜ同じ内容の放送をするのか?」という疑問は、すべてのチャンネルが揃っている都市部だからこそ、生じるのでしょう。


17時がリミット


また、企業や施設の終業時間は17時に設定されていることが多いもの。会見を開く主催者としては、17時まで事実確認をしたり、調査をしたり、専門家に話を聞いたりといった原稿を作成する時間にあてているかもしれません。


また、放送する側としては、昼間に大きな事件や事故、災害がおきてそのニュースを流すとしたら、やはり、17時までに取材したり撮影したり編集するために費やしているかもしれません。


そういう理由があって、18時台のVTR枠は存在してます。


では、なぜグルメ情報が多いのでしょうか。


なぜ、グルメ特集が多い?


大きな理由としては、放送の時期を選ばない、ということがあります。真夏に撮影した映像を冬に放送するのはさすがに違和感がありますが、想定のオンエア時期からか1月~2カ月ずれても、内容に大きな変化はありません。もちろん、季節限定商品やイベントを取り上げていれば影響ありますが、それでも、1週間程度は大丈夫でしょう。


そして、もう一つの理由は、この時間帯は視聴者が増加するタイムゾーンのため、できるだけ多くの視聴者をここに集めておきたいこと。ニュースの時間は視聴者は落ち着きがなく、頻繁にチャンネルを替えていますが、このVTRの放送中に自局に落ち着かせたい、という狙いがあります。この時間で視聴者を囲い込んで、19時台のゴールデンタイムに持ち込みたい、という意図があります。


視聴者のマインドも、19時のバラエティに向けてリラックスさせていかねばなりません。番組が報道からバラエティに切り替わる、19時ジャストで、視聴者の気持ちも切り替わるかというと、それほど器用ではないと思います。じょじょに視聴者の気持ちに余裕をつくり、バラエティを受け入れやすくするためにも、グルメ企画はちょうどいいのかもしれません。


また、VTRコーナーは尺が長いこともあり、局の独自性を出しやすいこともあります。ニュースですと、ニュースソース(出どころ)が同じですから、「いつ、だれが、どこで、なにを、どうしたのか」という情報はどのチャンネルも同じです。しかし、VTRは前もって制作されるものなので、そこに局の個性を発揮することができるのです。






















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