テレビ番組で取り上げられる企業と、番組からの問い合わせがきたけど、結局は取り上げられずに立ち消えになってしまう企業があります。
私たち制作会社は、企画を立ち上げたら、その企画に沿って取材させていただけるところをリサーチします。ネットやニュースリリースなどでいくつか候補をあげて、メールや電話で前取材をします。
ひとつの企画に3か所を取材するとしたら、前取材するのは、10件ほど。同業種が並ぶなかで、取材先として選ばれるか見送られるのかは、明確にあるのです。
今回は選ばれる店と見送られる店について書いていきます。見送られる店は、青文字の方です。
担当者がすぐつかまる OR なかなかつかまらない
電話をかけて、ご担当者が不在ということは、ままあります。最初にアプローチするときは、ぜひ取材したい、というスタンスではなく、企画も通るかどうかまだわからないなかでの連絡なので、時間をとらせてしまって申し訳ないな、という気持ちです。
ご不在の場合は、在席の時間を聞いておいて、その時間にかけ直すのですが、それでも不在なときはあります。3回目に繋がらなければ、縁がなかったな、と思います。もし取材する場合、担当者との連絡はライフラインともいえます。なかなかつかまらない、繋がらないのは、このあとの取材がスムーズにいかない予言のようなもの。
3回連絡をして、コールバックがなければ、その会社への取材は縁がなかったものと、諦めます。
同様の理由で、問い合わせたことへの返信がない、遅い場合も諦めます。
撮影内容におおらか OR 撮影NGが多い
前取材の電話をしていると、公にしていないエピソードや裏話をお話いただけます。
そういったところも撮影できるかどうか伺うと、それはダメと言われることがあります。
ライバル会社に知られたくない、ということもありますし、会社としてそれを取り上げられるのはどうなのか、と躊躇されるのでしょう。
広報としては、会社や上司に恥をかかせるのでは、と判断が働くこともあるでしょう。番組は、そういうところを盛り込みたい。
会社側は、それが世間的にはデメリットだと思われるようなのですが、視聴者が共感してもらえるポイントだと思うからこそ、そこを撮影したいのです。
企業としては、スマートなところを見せたいのも分かりますが、成功しているところだけを見せても、視聴者はついてこれません。
テレビ番組は緩急あってこそ、関心をもって視聴されるのです。
企業としていいところも、ちょっと人臭いところもあってストーリーが生れて、見てくれるのです。
番組側の撮影したいことを全て受け入れて、ということでもありません。できること、できないこと、がありますので、そのやりとりができる関係をつくって、こういうことをやりたい、ここまではOK、これはダメと言い合えると代替え案も出てくるものですし、お互いに取材してよかった、この番組に取り上げてもらえてよかった、となります。
かっこいいだけの番組は番組ではなく、企業紹介VPなのです。
テレビに映し出されると、不利益になる、ということがこちらも分かれば、そこは映り込まないようにする、モザイクをかける、など対応策を提案することができます。なぜダメなのか、全体がダメなのか、その部分だけがダメなのかを共有させてもらえれば、撮り方次第で対応できることもあります。
撮影させてもらえる項目が多ければ多いほど、放映時間も長くなる可能性があります。
連絡回数が多くても変わらず対応してくれる OR だんだん対応が遅くなる
取材するかどうか、は一度の電話で決められない場合があります。
報告書をまとめるときに、あ、これどうだったっけ?もっとこういう情報がほしいな、と気づいて再び連絡することがあります。
企画テーマと撮影できることがズレて、調整するために、確認したいことがでてくることもあります。
コロナ渦で政策が変われば、その都度、どんな対応をするのか聞き直すこともあります。
なんども電話するのはしのびないのですが、電話するたびに、電話の向うから、ため息など聞こえてくると、申し訳なさも倍増するとともに、放送終えるまでいい関係でいるのは難しいだろうな、と感じます。
放送されるまで、連絡を密にとりあわねばなりませんので、その関係性が構築できるかどうか。構築できないのであれば、どこかで、誤解やミスリードが起こります。ひいては放送事故や未確認情報を放送してしまうことになりかねません。
ルールを守って営業している OR ルールに則った営業をしていない
ルールに則った営業をしていない企業さんや店舗さんですと、そこを取材した番組にも批判がきますし、企業や店舗へも批判が入ります。制作者は法律の専門家ではありませんが、電話で話を聞いていたり、ロケハンに伺ったときに、長年の経験則で、あれ?これはいいのかな?と、違和感が生じるときがあります。
そういうときは質問させていただくことがあります。
そこで、どういう対応をされるかで、取材するか、見送るかを決めることもありました。
ホームぺージや店内にメディア掲載情報がある OR テレビの画面を掲載している
いちばんわかりやすいのが、ホームぺージに今まで取り上げられたテレビ番組の画面を切り取って載せているというもの。その画面に、番組のMCなどタレントが映っていると、連絡を控えるかもしれません。放送された映像の著作権はテレビ局にありますから、取材されたのが事実でも、画面を切り取ってホームぺージにのせる、あるいは、社内や店内に張り出すのはNGの行為なのです。広報リテラシーが低いのでは、と受け止められます。
ホームぺージへの掲載は、番組によって、どこまで載せていいか、決められています。
番組名と放送日の掲載はOKとか、番組名と番組ロゴと番組へのリンクはOKとかありますので、確認されて、最大限の情報をきちんと載せるのがよいかと思います。これは局が決めているのではなく、番組ごとに決めているので、その都度番組ごとに聞くのがよいです。
SNSに放送されたことを載せている OR 取材されたことを載せている
連絡を入れる前に、ホームぺージはもちろんのこと、SNSも拝見しています。
そのなかで、例えば、今日、〇〇っていう番組から連絡があった。とか、取材に来た、というコメントを見ると、センサーに引っかかります。番組にとって、取材時に放送の内容が漏洩されるのは困るのです。取材の連絡が入ったり、テレビカメラがくれば、つい、家族や友人に話すつもりでSNSで発言してしまったりするのもわかります。テレビ番組は下取材を丁寧にしており、連絡をとる前段階で、こういったところものぞかせていただいて、普段のメディアへの対応や付き合い方も見ているのです。
ただ、発言しているから一概にダメ、というワケでもなくて、どの程度までいいのか、分からなかったという方や、会社規模が小さいため、そこまで配慮できる人がいなかった、ということもあります。書き方や、言葉遣いなどをみて、連絡をとってみようかどうか判断することがあります。
まとめ
取材したくなる店は、
担当者とすぐ連絡が取れる
何度連絡しても、いつもと変わらない対応をしてくれる
撮影内容について、理解してくれる
ルールを守っている
会社(店舗)さんです。私たちも、担当者がいつも変わらず丁寧な対応をしてくれると、撮影した項目はなるべくカットせず、盛り込みたいと思いますし、放送が終わっても、また、取材したいと思うものです。
制作会社は、局をまたいでいくつもの番組を制作していることがありますので、制作会社とつながっておくのは、メディア対応として有効で有益です。
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