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テレビ番組はなぜ、わかりやすい?

最終更新: 2020年10月13日

テレビ番組制作を30年近く続けています。テレビはつまらないから見ない、という人もいますが、分かりやすさにかけては、どのメディアよりも抜きんでていると思います。

さて、

テレビ番組は、なぜ、初見なのに、日本人なら誰が見ても理解できるのか?

テレビ番組は、なぜ、最初から見なくても、そのあとの展開について行けるのか?

テレビ番組は、なぜ、ながら見をしても、わかるのか?

その理由について、書いていきます。


テレビは、3つのメディアが合わさっています。

1つは、映像。

2つ目は、音声。

3つ目が、テロップ。(テキスト)です。


目で見て、読んで、音声で聞くメディアなんです。それに加えて、視聴者の基本設定をしてあることも、分かりやすさの理由です。


基本的に視聴者を、中学2年生レベルと設定しています。バラエティ番組の場合は、小学5年生くらい。

公のガイドラインに載っているわけではないのですが、私がアシスタントディレクターのころ、当時のプロデューサーから、そう教わりました。

そして、こうも言われたものです。


お前が理解できていないことは、視聴者も理解できない。

説明できるまで、聞け。


テレビを真剣に見ている人はほとんどいません。朝の番組なら、出勤の支度をしながら時計代わりに見ています。夜なら、疲れて帰ってきて、料理しながら、ごはん食べながら、晩酌をしながら、家族とおしゃべりしながら見ています。まるで、BGMのように。

そういうふうに、何かしながら見ている人が多いのです。でも、人の生理として、目の前に動いているものがあると、見てしまう。だから、食べたり、飲んだり、おしゃべりの隙間に、テレビに目が奪われる。ときどき見ても、ながら見でも、飛ばし見してもなんとなく流れが分かる。カットとカットの間を見逃しても、ついていけるには、中学2年生くらいのレベルを意識しておくといいのです。


難しい研究をしている研究者のドキュメンタリーであっても、歴史番組でややこしい人間関係や現代では使われていない造作について説明するシーンであっても、行ったことのない地方の文化を取り上げる映像にしても、制作者である私たちは、それらのテーマを0から学んで、そして、分かりやすくかみ砕いて説明する、そして見て分かるような映像を撮るということを繰り返し繰り返ししてきました。


扱うテーマは苦手分野だったり、はじめて接する世界だったりしますが、その都度、教えていただいたり、資料を読んだり、調べたりして学んでいきます。取材対象者と初めてやりとりするときは、全くの素人で、なにも知らなくて申し訳ありません、という立場からお付き合いがスタートしますが、下取材(撮影の前に、構成をするための取材)や撮影や編集を通して、私たちはそのテーマについての理解を深めていきます。


取材対象者のみなさんには、なんども、理解できるまで同じような質問を繰り返してしまうことがあります。お相手してくださるみなさんも、あ、こういう点がわからないなら、もっとかんたんな言葉で説明しようとか、何かに例えてみようと気遣ってくれることがあり、そういうやりとりのなかから、適切な表現が見つかることもあります。


わかりやすく見せるために、制作者はテレビ局とも連携をとっていて、テレビ局の人間は現場に姿をみせることはありませんが、わかりやすいかどうか徹底的にチェックしています。わかりやすさだけではなくて、そのなかに情報に洩れや間違いがあってはなりませんし、論理的に破綻していてはダメなのです。放送するまでに、幾人ものチェックがはいって、これはどういう意味か、それはどこの機関の誰に聞いているのか、と確認されています。


テレビがつまらない理由の一つは、分かりやすすぎる、という点があるからかもしれません。







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